トップページ
コンテンツ
イメージ


紅葉まっさかりの11月26日、パルスプラザ京都で開催された農林水産フェアのステージにおいて、全国から26名ものフローリストが集い、第38回日花協選抜技術選手権大会が華々しく開催されました。前日には初の試みとして選手、関係者を一堂に招いた食事会も開催され、素晴らしい懇親の場となりました。

食品ブースに囲まれた会場での花の大会は、おおいに観客の関心を惹き、立ち見が出るほどの大盛況です。

競技は70分サプライズ形式による花束とテーブル作品の制作。花材には和洋グリーン、様々なマテリアルが用意され、中でも選手を悩ませたのが竹皮の包装資材と大きな竹帚でした。

各地でさまざまな花の競技会が開催されていますが、農林水産大臣、厚生労働大臣、内閣総理大臣の3つの大臣表彰が得られるのはこの大会だけに、参加する選手の張り合いも違います。司会の蜷川さんが各選手のプロフィールを読み上げるたび、会場は大きな拍手に包まれました。

コメンメーターの小谷祐輔さんによると「最初の15分でどこまで自分を乗せられるかが大事」。そして本当の勝負は最後の10分から。手直しも、作り直すことも叶う、腕の見せ所です。

大勢の観客が固唾をのんで見守る中、選手たちは思い思いに作品に取り組み、タイムキーパーが終了時間を告げる頃には全員が無事課題をクリアしていました。

入賞者が発表され、審査委員長より講評が伝えられました。順位をつけるのが辛いほどの僅差の結果であり、最終的にはテーマの表現力と特性が順位として現れ、それはすなわち日頃の成果でしかないと断言されました。

競技会ではつい自分を奮いたたせようとばかりに、未消化な斬新性に挑戦してしまうことがあります。うまくひとに伝えられれば効果は絶大ですが、表現力より気負いが勝ってしまった場合、減点という大きなリスクに繋がりかねません。

今大会はアーティストを求めるものではなく、文字通り技術を競うコンペでした。斬新さよりもきちんとひとに伝わる思いと、伝えることができる丁寧で確実な技術が求められています。花を通じて何がしたいのか、そしてそれを人の心に伝えられる技術が備わっているかどうか。それを支えるのは日頃の花との向き合い方でしかありません

「地方予選と全国大会では、目に飛び込んでくるものが違った」と選手の一人が正直な想いを伝えてくれました。競技を通じてレベルの差を知り、また改めて花の魅力を知る。ひとがもつ、花の魅せ方を知る。10年ぶりの京都での全国大会が、京都に与えてくれたものの大きさを教えられた思いがしました。